新NISAの成長投資枠は年間240万円まで非課税で投資できます。口座を開いたのに何を買うか決まっていない、という状態のまま時間が過ぎている方も少なくないでしょう。商品の選択は10年後・20年後の資産額に数百万円単位の差をもたらします。
この記事では、初心者が成長投資枠で選びやすい銘柄を5つ、信託報酬・特徴・成長枠で買う意義とともに紹介します。つみたて投資枠との違いや、使わなかった場合との差額も含めて整理しました。
つみたて投資枠との違いを確認
新NISAの2つの枠は、買える商品と年間上限額が異なります。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間上限額 | 120万円 | 240万円 |
| 購入方法 | 積立のみ | 積立・一括どちらも可 |
| 対象商品 | 金融庁基準の投資信託・ETF | 株式・REIT・アクティブファンド含む |
| 生涯非課税限度額 | 合計1,800万円(成長投資枠上限は1,200万円) | |
※金融庁「NISA特設ウェブサイト」参照(2026年3月時点)
つみたて投資枠は長期積立向きの商品に絞り込まれているため、選択肢は限られています。成長投資枠では一括購入も可能で、株式やREITなど分配・配当収入を得やすい商品も対象です。両枠を合わせると年間最大360万円まで非課税で投資できる仕組みになっています。
初心者におすすめの銘柄5選
成長投資枠の対象商品は幅広いですが、初心者が選びやすいものはある程度絞られています。コストの低さ・分散の広さ・非課税の恩恵を受けやすいかどうか、この3点を軸に選んだ5銘柄を紹介します。
① eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) |
| 信託報酬 | 年0.05775%(税込) |
| ベンチマーク | MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み・円換算) |
| 成長投資枠 | 対象 ✓ |
| 基準価額推移 | 設定来(2018年10月)〜2026年3月で約2.4倍(過去実績・参考値) |
※信託報酬・基準価額は三菱UFJアセットマネジメント公式サイトより(2026年3月時点)。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
47カ国・約3,000銘柄に分散投資できる全世界型インデックスファンドです。「一本で世界経済全体を買う」という考え方で、どの国が成長しても恩恵を受けやすい構成。信託報酬が年0.05775%と国内最低水準にあるため、長期保有でのコスト負担が最小限に抑えられます。
つみたて投資枠でも購入できますが、成長枠なら一括購入が可能です。まとまった資金を一度に投じたい場合や、つみたて枠での積立と並行して成長枠で追加投資するという使い方が現実的でしょう。
② eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) |
| 信託報酬 | 年0.08140%以下(税込) |
| ベンチマーク | S&P500指数(配当込み・円換算) |
| 成長投資枠 | 対象 ✓ |
| 基準価額推移 | 設定来(2018年7月)〜2026年3月で約2.9倍(過去実績・参考値) |
※信託報酬・基準価額は三菱UFJアセットマネジメント公式サイトより(2026年3月時点)。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
純資産総額が約10兆円を超え、国内最大規模のインデックスファンドのひとつです。Apple・Microsoft・NVIDIAなど米国大型株500社で構成されており、米国経済の成長を丸ごと取り込む設計。信託報酬は繰り返し引き下げられており、現在は年0.08140%以下という水準です。
全世界型との違いは米国への集中度にあります。上昇局面では力強いリターンが期待できますが、米国市場が調整した際の下落幅も大きくなりやすい点は頭に置いておく必要があります。米国経済への信頼を軸に投資したい方向けの選択肢です。
③ SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド |
| 信託報酬 | 年0.1438%(税込) |
| ベンチマーク | FTSE グローバル・オールキャップ・インデックス(配当込み・円換算) |
| 成長投資枠 | 対象 ✓ |
※信託報酬はSBIアセットマネジメント公式サイトより(2026年3月時点)。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
オルカンと同じ全世界型ですが、ベンチマークにFTSE指数を採用しているため、中小型株を含む約8,000銘柄に分散できます。新興国・小型株まで幅広く取り込みたい方に向いた選択肢ではないでしょうか。SBIアセットマネジメントが運用しており、SBI証券での取り扱いが中心です。
すでにつみたて枠でオルカン(MSCI指数連動)を積み立てているなら、成長枠でFTSE指数連動のこのファンドを追加することで、中小型株もカバーできます。異なるインデックスを組み合わせた分散の一手として考えられます。
④ NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信(コード: 1489)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | NEXT FUNDS 日経平均高配当株50指数連動型上場投信 |
| 証券コード | 1489(東証上場ETF) |
| 信託報酬 | 年0.308%(税込) |
| 決算 | 年4回(1・4・7・10月) |
| 成長投資枠 | 対象 ✓ |
※信託報酬は野村アセットマネジメント公式サイトより(2026年3月時点)。分配金は将来の支払いを保証するものではありません。
日経225採用銘柄の中から配当利回りが高い50社に投資する上場投信(ETF)です。課税口座では配当金に約20%が源泉徴収されますが、成長投資枠内なら配当金が全額非課税で受け取れます。年4回の決算でキャッシュフローが生まれるため、定期収入を非課税で積み上げたい方に適した選択肢です。
取引所でリアルタイムに売買できる点もETFの特徴。ただし株式と同様に価格が日々変動するため、通常の投資信託より価格変動を意識する場面が増えます。元本割れリスクがある点はほかの銘柄と同じです。
⑤ eMAXIS Slim 国内リートインデックス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | eMAXIS Slim 国内リートインデックス |
| 信託報酬 | 年0.187%(税込) |
| ベンチマーク | 東証REIT指数(配当込み) |
| 成長投資枠 | 対象 ✓ |
※信託報酬は三菱UFJアセットマネジメント公式サイトより(2026年3月時点)。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
J-REIT(国内不動産投資信託)に幅広く投資するインデックスファンドです。オフィス・商業施設・住宅・物流施設など多様な用途の不動産に間接的に分散投資できます。東証REIT指数全体の分配金利回りは概ね3〜5%程度が目安とされており、課税口座では分配のたびに約20%が差し引かれるのが現状です。成長投資枠で保有すれば分配金が全額非課税で受け取れるため、インカム重視の方に向いた銘柄といえます。
株式とは値動きの傾向が異なるため、オルカンやS&P500と組み合わせると全体のポートフォリオが分散されやすくなります。
銘柄選びの3つのポイントは?
5銘柄を紹介しましたが、どれを選ぶかで迷う方のために判断軸を3点整理します。
1. 信託報酬の低さを優先する
信託報酬は毎日自動的に差し引かれるコストです。年0.1%と年0.5%の差は1年では小さく見えますが、20年・30年の長期で元本1,000万円を運用し続けると、コスト差が数十万円単位になります。成長投資枠で長期保有するなら、信託報酬の低さは最初に確認すべき項目でしょう。
2. つみたて枠との役割を分ける
すでにつみたて投資枠でオルカンを積み立てているなら、成長投資枠で同じ商品を追加するのも合理的です。一方、配当収入を非課税で得たいなら高配当株ETFやJ-REITを成長枠に充てる、という役割分担もあります。目的によって最適な組み合わせは変わります。
3. 一括購入か積立かを決める
成長投資枠は一括購入が可能な点が、つみたて投資枠との大きな違いです。まとまった資金がある場合は一度に市場に乗せることができます。ただし、投資元本は保証されていません。生活防衛資金(3〜6カ月分の生活費)を手元に残したうえで、余剰資金を充てることが前提です。
成長投資枠の活用シミュレーション
月10万円(年120万円)を成長投資枠で積み立てた場合のシミュレーションをご覧ください。想定する年率は5%。全世界株式インデックスの過去30年平均が約7.5%であることを踏まえ、保守的に設定した参考値となります。
なお、以下はすべて過去の運用実績に基づく参考値であり、将来の成果を保証するものではありません。投資信託・株式・REITは価格変動リスクがあり、元本を下回る可能性があります。
| 期間 | 元本累計 | 評価額(年率5%・参考値) | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 5年後 | 600万円 | 約680万円 | 約80万円 |
| 10年後 | 1,200万円 | 約1,510万円 | 約310万円 |
| 20年後 | 2,400万円 | 約4,000万円 | 約1,600万円 |
※全世界株式インデックスの過去30年平均実績(年率約7.5%)をもとに、保守的想定として年率5%を採用。将来の運用成果を保証するものではありません。
10年後の評価額約1,510万円のうち、運用益は約310万円。この運用益に通常20.315%の税金がかかるとすると、課税口座では約63万円が差し引かれます。成長投資枠を使えばその63万円がそのまま手元に残る計算です。
成長投資枠を使わない場合との差はどれくらいか?
同じ条件で課税口座と比べると、10年後の手取り額の差が見えてきます。
| 口座の種類 | 10年後の受取額(参考) |
|---|---|
| 課税口座(一般口座・特定口座) | 約1,447万円(運用益に約20%課税後) |
| NISA成長投資枠 | 約1,510万円(運用益全額非課税) |
差額は約63万円。10年で63万円と聞くと小さく感じるかもしれません。しかし20年・30年と続けると差はさらに広がります。長期保有するほど、NISA成長投資枠の非課税効果は増していきます。
まとめ
成長投資枠で買う商品を選ぶ際に押さえておきたい点を整理します。
まず、毎月分配型の投資信託は成長投資枠の対象外です。分配頻度の高い商品は除外されているため、商品を選ぶ前に金融庁の対象商品リストを確認しましょう。
次に、損益通算ができない点も覚えておく必要があります。NISA口座内で損失が出た場合、課税口座の利益と相殺することができません。損失確定時に節税の手段が使えないことを前提に考えることが大切です。
そして最も重要な前提として、投資元本は保証されていません。株式・ETF・REITはいずれも価格変動があり、短期間で元本を大きく下回るリスクがあります。生活費や急な出費に充てる予定の資金は投資に回さないことが原則です。※投資はご自身の判断と責任のもとで行ってください。
紹介した銘柄5選はいずれも成長投資枠の対象で、信託報酬が低く分散性の高いものを中心に選んでいます。資産成長を狙うのか、配当収入を非課税で得たいのか、不動産で分散したいのか。目的を決めてから選ぶと、迷いが少なくなります。